ノロウィルスに関する20の質問(感染予防と対策)

ノロウィルスによる食中毒の特徴、感染経路、予防などについて、最新の情報をまとめています。

厚生労働省等が公表している情報を中心に要約しています。また情報の信頼性、正確性については、多くの資料で発表され合意されている内容です。

平成28年12月での患者数は、前年同時期の3倍近くになっています。

ノロウィルスの特徴

(1)どんなウィルス?

  • 1972年に形態が明らかにされたウイルス。ウイルスの中でも非常に小さく、直径は30ナノメートル~45ナノメートル。(1ナノメートルは、100万分の1ミリ)
    ※タバコの煙(約1マイクロメートル)の30/1000くらいです。
  • 低温に強いウィルス。冷凍しても死滅(不活化)せず、冷蔵庫の中でも1年近く生存。
  • 人において感染・増殖する部位は小腸と考えられています。

(2)種類はたくさんあるの?

2つ遺伝子群(GⅠとGⅡ)があり、それぞれ9種類と22種類の遺伝子型に分類されています。食中毒で検出が多いのは、合わせて10種類ほどです。

平成28年12月11日時点の感染状況では、近年に検出の少ないウィルスの型「GII.2型」が約7割と多くなっています。

(3)感染力は?

感染力は非常に強く、ウィルスの数が100個以下でも感染します。10個程度から感染するとの情報もあります。またドアノブ、布団などのリネン類に付着したウィルスからも感染します。

(4)潜伏期間は?

潜伏期間は24時間から48時間です。(体力が低下している人などは、早く発症する場合もあります。)症状が出た場合、食事が原因と推定される場合は、前日または前々日に食べたものが疑われます。

潜伏期間中の人から人への感染は、少ないといわれています。

(5)感染症状・治癒・後遺症は?

  1. 吐き気や激しい嘔吐
  2. 腹痛や激しい下痢
  3. 37度から38度の発熱を伴うこともあります。

症状は1日から2日で自然治癒し、後遺症はありません。感染しても発症しない場合、軽い風邪のような症状の場合もあります。

(6)治療方法は?

ノロウイルスに効果のある抗ウイルス剤はなく、水分補給、栄養補給などの対症療法が行われています。

(7)発症したら?

安静にして自然治癒を待つしかありません。こまめな水分補給(経口補水液がおすすめ)を行い、脱水症状を防ぎます。

厚生労働省の記事では、“下痢止め薬は使用しないことが望ましい”としています。(回復を遅らせる場合があるため)

症状が治まったあとも1~2週間は、便などからウィルスが検出され、人へ感染リスクがあります。

(8)死亡することはあるの?

厚生労働省の公表データー(平成18年から平成27年)では、ノロウィルスが直接の原因となった死亡例は発生していません。

ただし病院や社会福祉施設で、集団感染が発生している時期での死亡例はあります。これは吐いたものを気管支などに詰まらせる誤嚥(ごえん)による窒息、誤嚥性肺炎などで、ウィルスが直接の原因とならない場合があります。

(9)免疫は出来るの?

感染した場合に免疫は出来ます。しかしウィルスの型によって働きが異なるため、何度も感染するリスクがあります。また同じ型のウィルスであっても免疫が働く期間は短いといわれます。(大人で2年程度との情報があります。)

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感染に関する情報

(10)感染経路は?

ノロウィルスは口から入ることで感染する、経口感染がほとんどです。

①人から人への感染

  1. 感染者の手についたウィルスからの接触感染。(唾液などからの感染は少ない)
  2. ウィルスに感染した食品取扱者(調理者等)が作った食事からの二次感染。

※近年では食品取扱者からの二次感染が増加しているとのことです。

①空気感染

ふん便や吐ぶつから飛散したウィルスによる感染。特に乾燥した吐ぶつからは、ウィルスが空気中に飛散しやすくなります。

③食品からの感染

特定された食品では、ウィルスに汚染された魚貝類(特に2枚貝)などからの感染が多くなっています。

④調理器具、共同使用物からの感染

ウィルスの付着した食器や調理器具、共同使用のトイレ等の設備、ドアノブなどからの接触感染。

⑤その他

汚染された井戸水など

⑦感染経路(イラスト)

ノロウィルスの感染経路

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(11)感染の多い食品は?

平成27年(ノロウィルスによる食中毒の総数481件)のデーターでは・・

魚介類が71件(うち68件が2枚貝)となっており、特定された食品ではもっとも多くなっています。

牡蠣(カキ)などの二枚貝は大量の海水を取り込み、プランクトンなどのエサを体内に残し、出水管から海水を排出します。このためウィルスが体内に蓄積されやすいと考えられています。生食や加熱が不十分な場合に感染リスクが高くなります。十分に加熱されたものであれば問題ありません。

牡蠣(カキ)

生食用の牡蠣(カキ)|イメージ写真

その他の特定された食品としては、野菜や菓子類などからの感染もありますが、件数は少ないです。

※食品を特定せず、食事を原因と特定している件数が最も多いため、注意が必要です。
平成27年では325件/481件が食事を感染源として特定しています。

(12)感染が多い場所は?

飲食店での感染が約7割ともっとも多くなっています。

[おもな感染場所]※厚生労働省のデーター(平成26年)から

  1. 飲食店:68%
  2. ホテル・旅館など:12%
  3. 家庭:7%

(13)年間の患者・感染者数は?

厚生労働省の集計では、年間の患者数は約1万4700人(過去10年の平均)です。これは医療機関を受診した人数であり、軽症の人や受診しなかった人は含まれません。

近年で患者数が多かった年は、平成18年で2万7616人です。この年は3ヶ月間での感染者数が推計で300万人になっています。(無症状や軽症、医療機関で受診しない人を含む)

平成28年においては、11月から患者数が増加しており、12月11日時点で13の県で警報レベル(1医療機関あたり20人以上の患者)に達しています。また近年に検出の少ないウィルスの型が多く検出されており、免疫の少ない乳幼児、子どもの感染が多くなっています。

食中毒事故に占める割合は、平成27年では40%です。(総件数1202件のうち、ノロウィルスが原因となった件数は481件)

(14)発生の多い月は?

12月から3月にかけて多く発生しています。
※厚生労働省発表データー(2011年から2015年の平均)

①食中毒事故(事件)※飲食店、学校などでの集団感染など

  1. 1月:83.6件
  2. 12月:66.6件
  3. 3月:60.6件
  4. 2月:59件

②患者数※医療機関等での受診者数

  1. 12月:3,095人
  2. 1月:2,892人
  3. 3月:2111人
  4. 2月:1,607人

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ノロウィルスの感染予防と対策

(15)消毒・殺菌の方法は?

①手洗いでの殺菌

消毒用アルコール、石鹸での殺菌効果はありません。ただし十分な手洗いによって、手に付着したウィルスを流すことで、感染の予防は期待できます。(後述)

②食品の加熱殺菌

ウィルス汚染のそれがある二枚貝などは、中心部の温度が85℃~90℃で、90秒以上の加熱が推奨されています。食品に含まれるウィルスはたんぱく質で覆われているため、十分な加熱が必要です。

③調理器具、トイレなどの共同使用物の殺菌

殺菌には下記のものに効果的があるといわれます。

  1. 家庭用の塩素系漂白剤(※)
  2. 柿渋タンニンと消毒用アルコールの混合液(詳細)

次亜塩素酸ナトリウムを含むもので、塩素系漂白剤(家庭用商品)の多くに含まれています。便座やドアノブなどを直接消毒する場合は、水で50倍程度に薄めたものです。金属製品の消毒後は乾拭きが必要です。(腐食のおそれがあるため)

次亜塩素酸ナトリウム

商品の裏面に記載されています。

噴霧器でスプレーする場合は、250倍程度に薄めたものを使用します。目や肌に付かないように気をつけてください。

ノロウィルスの消毒

[注意点]

  • 次亜塩素酸ナトリウムを含む漂白剤は、アルカリ性のため酸性の洗剤と混ぜることは大変危険です。(塩素ガスが発生)特にトイレ用洗剤には強酸性の製品が多く、トイレの除菌の際には十分な注意が必要です。
  • 塩素系漂白剤の誤飲などによる事故も目立っています。飲食店や共同利用施設などで、消毒液を保管する場合は、事故を起こさないために厳重な管理が必要です。家庭内においても、子どもが触れない場所に保管するなどの注意が必要です。

④布団などのリネン類

高温の乾燥機などの使用で、殺菌効果が期待できます。またスチームアイロンの利用も効果的です。

(16)電子レンジでの加熱は?

電磁波で食品の分子を激しく振動させ過熱する仕組みのため、水分を含む魚介類などの過熱殺菌に有効です。ただし厚みのある食品、容器に入った弁当などでは加熱ムラが出ることもあり、内部まで十分に加熱できないこともあります。

(17)手洗いの方法は?

調理前、トイレの使用後は、石鹸を使った手洗いが推奨されています。石鹸自体にはノロウイルスを殺菌する効果はありませんが、ウイルスを手から剥がして流れやすくする効果があります。

  1. 指輪や腕時計、アクセサリーなどは外して、石鹸で十分に泡立てる。
  2. 手だけでなく、腕や爪の間も十分に洗う。
  3. 爪の間などは、ブラシ(使い古しの歯ブラシなど)を使って汚れを落とす。
  4. すすぎは流水で行う。(温水が推奨されています)
  5. 洗い終わったら、清潔なタオルで拭く。(ペーパータオルなど使い捨てを推奨)
ノロウィルスの手洗い

爪のすき間、腕なども石鹸で念入りに洗い、流水ですすぎましょう。

外した指輪などを誤って流してしまわないように注意しましょう。

(18)ふん便や吐ぶつの処理は?

  1. ふん便や吐ぶつの処理には、必ずビニール手袋をつけましょう。マスクは鼻まで覆うようにします。ただしウィルスが小さいため十分な防止効果はありません。
  2. また作業前に対象物は十分な消毒を行ってから処理しましょう。(塩素系漂白剤などを使用)
  3. 作業後には十分な手洗い、腕、顔など肌が露出している部分も含めて十分な洗浄を行うことが必要です。

(19)ノロウィルス予防に期待されるラクトフェリン

ラクトフェリンとは、人の母乳、哺乳動物の乳に含まれる「糖たんぱく質」のひとつ。食品メーカーの「ライオン」によると、腸の表面に張り付くことで、感染を予防する効果があるとのことです。

  • 腸の表面にぴたっと張り付き、細胞をウイルスからガード。
  • ラクトフェリンが胃の中で変化してできる「ラクトフェリシン」という物質が直接ノロウイルスにくっつき、腸の表面にある細胞に入り込むのをガード。

※ライオンのホームページから転載

また乳酸菌の積極的な摂取で腸内環境を整えることにより、免疫力の向上などが期待できます。(直接の感染予防効果については、情報は少ないです)

(20)室温・湿度との関係は?

ノロウィルスを含めウィルスは、低温と乾燥に強い性質があります。湿度が40%を下回るとウィルスが活発化するといわれています、加湿器などで湿度を50%~60%に保つことで、感染リスクの軽減が期待できると思います。インフルエンザ対策にも有効です。

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リーフレット(ポスター・チラシ)

厚生労働省が発行している感染予防のリーフレットです。それぞれA4サイズ(縦)で印刷できます。ご家庭や飲食店、共同利用施設などで掲示することで、感染の拡大や予防に期待できると思います。

衛生的な手洗いの方法

手洗いの方法

▲PDF形式で表示します。

食品を扱う時の注意点

ノロウィルスの食品対策

▲PDF形式で表示します。

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出典・関連リンク

ノロウィルス関連の記事(当サイト内)

厚生労働省などの機関(データー出典)

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