「忘れられる権利」認められず。Googleの勝訴

約5年前に罰金刑を受けた男性が、「グーグル」に対して、検索エンジンで当時の記事を表示させないように求めた裁判で、東京高等裁判所は、男性の訴えを退ける判断を行いました。

地裁では、削除を命じた判断が出されていました。

追記(平成29年2月1日)

最高裁判所が初判断。過去に逮捕歴がある男性が、検索結果に名前が表示され、不利益を生じているとして、Googleに検索結果の削除を求めていた裁判(上告審)で、「男性の逮捕歴は公共の利害に関する」として削除を認めない決定。(裁判官5人全員一致の意見)

検索結果の表示は、社会的な意義などと比較して「個人のプライバシー保護が明らかに優越する場合は削除が認められる」という判断基準を初めて示した判決。

最高裁が示す考慮される判断基準は

  • 情報の内容
  • 被害の程度
  • 社会的地位など

また最高裁は。別の男性らが検索結果候補の削除などを求めた4件の訴訟についても上告を退けています。(原告側敗訴が確定)

事件と裁判の概要

  • 訴えた方:男性
  • 事件からの経過年数:約5年
  • 罪状:児童買春
  • 判決:罰金刑

2015年12月に、埼玉地裁で出された判断は、「グーグル」に削除を命じる決定。その後Googleが抗告しており、2016年7月12日に、高裁で地裁の決定を取り消す決定が出されました。

東京高等裁判所の判断とGoogleの見解

決定の理由

「社会的な関心が高い児童買春は、5年程度が経過していても公共の利害に関わるもので、検索結果の削除は多くの人たちの表現の自由や知る権利を侵害することになる」

杉原則彦 裁判長

「忘れられる権利」への見解

「法律で定められたものではなく要件や効果が明確でない上、実体はプライバシー権などに基づく申し立てと変わらず、独立して判断する必要はない」

杉原則彦 裁判長

Googleのコメント

「人々の知る権利と情報へのアクセスを尊重した判断だと考えている」

Google

「忘れられる権利」と「知る権利」

犯罪歴など知られたくない過去の出来事について、検索エンジンから削除を求める裁判は、他にもあり、地裁段階では削除を命じる判断も出されています。

現役の歯科医が5年以上前に、不正な診療行為での逮捕され罰金刑を受けた事例で、削除を命じる仮処分(東京地裁)

「忘れられる権利」は、インターネットの普及に伴ってヨーロッパやアメリカなどを中心に議論が活発になっているようです。日本においても「表現の自由」や「知る権利」と、本人が受ける不利益について、どう判断するかは、犯罪の罪状や経過年数、社会的影響などによって、分かれているようです。

GoogleとYahooでは、判断基準が異なる?

現在「YahooJapan(以下Yahoo)」の検索エンジンは、「Google」と同じ検索データーベースおよびシステムを利用しており、自然検索での表示順位などにおいては、ほぼ同じ結果になっています。(関連キーワード表示、Googleでの「パーソナライズド検索」など、一部においては異なります。)

個人情報の削除については、判断基準が異なるようです。Yahooでは削除を求めている人の属性(公職者か、未成年者かなど)、プライバシー保護の必要性などを検討するという判断基準を公表しています。このため、Yahooで削除の判断がされた場合、Yahooでの検索のみ表示されないといったケースになりそうです。

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