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ひき逃げの検挙率と刑罰

犯罪白書によると、2015年のひき逃げ
事件は8,666件(軽傷を含む)
2015年(平成27年)の死傷事故の発生件数は536,899件で、この内ひき逃げ事件は8,666件です。
検挙率は死亡事件で95.3%、重傷事件では71.5%です。
データーの出典:法務省の犯罪白書
ひき逃げ事件の状況
発生件数
平成23年から平成27年のひき逃げ事件
※軽傷、重傷、死亡を含む件数
年 | 件数 | 死亡 | 重傷 | 軽傷 |
27 | 8,666 | 150 | 722 | 7,794 |
26 | 9,231 | 143 | 773 | 8,310 |
25 | 9,699 | 151 | 836 | 8,772 |
24 | 10,198 | 169 | 831 | 9,198 |
23 | 11,278 | 183 | 856 | 10,239 |
検挙率
平成23年から平成27年の平均では、死亡事件の約95%が検挙されています。
※前年までに発生した事件の検挙を含むため、100%を超える年もあります。
カッコ内は重傷事件。
- 平成27年:95.3%(71.5%)
- 平成26年:102.7%(72..3%)
- 平成25年:92.7%(67.3%)
- 平成24年:98.8%(69.6%)
- 平成23年:90.2%(64.8%)
昨今では街頭への防犯カメラの設置、ドライブレコーダーを搭載する車も増えており、検挙率の向上につながっています。
ひき逃げの罪と罰
ひき逃げ事件では、被害者の死傷状況、人数、運転者の飲酒の有無、危険運転、免許の有無など、悪質性によって刑罰が大きく変わってきます。
ひき逃げ事件では、下記1~4の刑事罰が課せられます。
- 負傷者の救護と危険防止の措置違反:5年以下の懲役又は50万円以下の罰金
(運転者の運転に起因する場合は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金 ) - 事故報告の義務等違反:3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
- 現場に留まる義務違反:5万円以下の罰金
- 自動車運転過失致死傷罪:7年以下の懲役もしくは禁錮 又は100万円以下の罰金
危険運転に該当する場合は、「危険運転致死傷罪」となり、被害者が負傷の場合は、15年以下の懲役、 死亡した場合は20年以下の懲役 となります。また事故後に故意に何度も轢いたりした場合は、殺人罪が適用される場合もあります。
時効
- 自動車運転過失致死:10年
- 危険運転致傷罪:10年
- 危険運転致死罪:20年
飲酒した状態でのひき逃げでは・・
下記の刑罰が加わります。
- 酒酔い運転:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
- 酒気帯び(0.25mg以下):3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
- 酒気帯び(0.15~0.25mg):3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
さらに飲酒を隠すために、その場から逃げた場合は、「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が加わります。法定刑は12年以下の懲役です。
重罪です!
通常の交通死傷事故は「過失運転致死傷罪」であり、刑事罰は最高でも懲役7年です。また過失相殺などによって、不起訴、実刑にならず執行猶予、罰金刑なども少なくありません。責任の重さは状況により異なりますが、あくまでも事故(過失)であり、状況によっては偶発的または不可抗力に近いケースもあるかと思います。
しかし・・
「ひき逃げ」は事故でなく、事件(犯罪)になります。その場で救急車を手配するなど、救護措置を行っていれば、助かる命も少なくないと思います。死亡・重傷事件では、ほぼ100%実刑であり、他の罪が併合罪として加重される場合や再犯加重(※)の場合などは、最長で30年の懲役です。また自首も成立しにくいといわれ、示談交渉においても困難な場合が少なくありません。(示談成立の有無は、量刑に大きく影響します。)
※懲役刑を受けた者が刑の執行を終了または免除から、5年以内に再度罪を犯した場合、その罪について定めた懲役の長期の2倍以下まで課せられます。
刑事罰だけではありません。賠償責任(被害者への自賠責保険、任意保険は適用)、行政処分(※)、社会的な制裁(勤務先からの懲戒処分など)も発生します。被害者を死亡させたり、後遺症を負わせた場合などは、生涯にわたり罪の意識を背負うことになります。
※ひき逃げ「救護義務違反」は、軽傷事件であっても免許取消しです。行政処分は35点で、欠格期間は3年(前歴なしの場合)です。前歴ありの場合や、他の法令違反などが加算された場合、最長で10年間は免許の再取得ができません。