夏は人に危害を与える、昆虫や爬虫類の活動が活発になる季節です。
野山や市街地で注意が必要な危険生物について、まとめています。
昆虫や爬虫類
ハネカクシ
- 生息域:日本全域
- 生息場所:水田や池の近くなど湿った地表。昼間は石の下や草むら、夜は明かりに集まります。
- 体長:6ミリ~7ミリ
- 活動時期:4月~10月
危険性と注意事項
刺されることはありません。しかし体に止まったハネカクシを潰すなどした場合、体液に「ペデリン」という毒素を持っているため、しばらくしてから、はれ、かゆみ、水ぶくれなどの炎症が表れます。治るのに2週間以上かかる場合もあります。またこの毒素は目に入ると非常に危険です。
セアカコケグモ
- 生息域:日本全域
- 生息場所:日当たりが良く、雨風が当たらないところ(公園のベンチの裏やすべり台のスロープの裏、階段部分) 昆虫などの餌が豊富にあるところ。 巣を張る適当な隙間があるところ(排水溝のふたの裏、格子部分など)。
- 体長:8ミリ~12ミリ
- 活動時期:8月~11月
危険性と注意事項
噛まれた場合、激しい痛みや、はれ、発熱を起こします。
スズメバチ
- 生息域:日本全域
- 生息場所:森や林、土の中、民家近くに巣を作ることもあります。
- 体長:27ミリ~40ミリ(種類により異なる)
- 活動時期:4月~10月
おもに「オオスズメバチ」、「ヒメスズメバチ」、「キイロスズメバチ」の3種類が危険です。
危険性と注意事項
強い毒を持ち、刺された場合は死亡することもあります。特に一度刺されたことがある人は、体内に抗体が出来、2度目以降には激しい症状(アナフィラキーショック)を起こし、重篤な症状を引き起こします。
巣に近づくと「カチカチ」という警告音を出すことがあります。この場合、ゆっくりとその場を離れることが大切です。また万一刺された場合は、とにかく冷やすことです。ハイキングなどでは、黒い服や香水などの匂いの強いものは禁物です。
自転車やバイクなどで走行中に、服の中に飛び込んでくる場合もあります。首や胸元を隠すような服装をおすすめします。また飲みかけの缶ジュースなどに入り込むこともあります。空き缶拾いなどの清掃作業の時も注意が必要です。
ヒル(吸血ヒル)
- 生息域:本州・四国・九州
- 生息場所:川や水田や池の近く、
- 体長:20ミリ
- 活動時期:4月~10月
危険性と注意事項
毒はありませんが、吸われると血が止まりにくくなります。もし吸われたら塩や酢をかけることで、取り除きやすくなります。またライターなどで火を近づけることも効果があります。(やけどに注意)
マムシなどの毒ヘビ
- 生息域:九州から北海道
- 生息場所:川や水田、池の近く。草むらなど。
- 体長:45センチ~80センチ
- 活動時期:4月~11月
危険性と注意事項
頭部が三角形の形をした小型の毒へび。おとなしい性格ですが、触ったりすると噛まれます。攻撃できる範囲は50センチ程度といわれています。
もし噛まれたら・・
- スグに傷口から毒を吸い出す。口で直接吸出し、出血する血液と共に毒液を吸い取り吐き捨てることを何回も繰り返す。
- 噛まれた傷口より、心臓に近い部分をタオルや布などで縛る。
- 縛るものがなければ、噛まれた部分は心臓の高さよりも下にしておく。
- 出来るだけ早く医療機関で受診する。(安静は重症化する原因になる)
「ヤマカガシ」にも注意が必要です。
あまり知られていませんが、ヤマカガシ(体長は50センチ~120センチ。マムシより生息数は多い。水辺などに多く棲みます。)にも毒があります。噛まれる被害は少ないですが、毒性は強く十分な注意が必要です。
マダニ
マダニは草むらなどに生息し、「日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)」やウィルス性感染症「重症熱性血小板減少症候群|SFTS」を媒介するダニです。死亡例も発生しており、草むらに入る場合は注意が必要です。
危険な動物(哺乳類)
クマ
昨今では本州の多くの地域で「ツキノワグマ」の出没が増えています。人身事故も発生しており、十分な注意が必要です。
ツキノワグマ
本州では東北、甲信、北陸、中国地方に多く生息します。基本的には、おとなしい性格ですが、子連れのクマなどは大変危険です。活動時期は4月から11月です。
ツキノワグマの出没状況(33都府県)などは、こちらをご参照ください。
ヒグマ
日本ではヒグマの生息地は北海道のみです。ツキノワグマより大きく死亡事故もある大変危険なクマです。生息数の多い知床では、道路脇に車を止め見物する「クマ渋滞」が頻発しているようで、事故の恐れが心配されています。
アライグマ
アライグマは日本に生息していなかった動物(外来種)ですが、ペットとして持ち込まれたものが繁殖し、日本各地で見られるようになっています。体長は約50センチで、夜行性です。
可愛い外見に似合わず、気性が荒く人に懐くことは少ない動物です。引っかかれたり噛みつかれる事故も起きており、不用意に手を出したりしてはダメです。