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水難事故の事例と発生場所・原因(2022年)

毎年、水難事故は約1400件(水難者は約1600人)発生し、約750人が亡くなったり行方不明になっています。近年の発生状況、過去に起きた事故を知ることで、海や川、湖沼でのリスクを知ることが大切。
[目次]
- 2021年(年間)の事故件数
2022年6月9日発表分 - 夏のレジャー中に発生した事故
海や川で6月~9月に発生した事故と場所 - 水難事故の防止・安全対策
特に注意すること
子ども向けチラシなど - 2022年と2021年の事故
6月~9月に発生した事故を地域別に掲載 - 過去の事故状況
このページに掲載している数値は警察庁の「水難事故統計」から出典(利用規約に準拠)した二次情報です。数値を再利用される場合は、出典元データーをご使用ください。(グラフ・表は当サイトで作成。二次情報としての再利用はご自由に。)
水難事故の発生状況
レジャー中だけでなく、歩行中の転落や業務中等を含めたすべての事故です。(グラフの一部は拡大表示、表の一部は横スクロール)
2021年(年間)
2021年(年間)の水難事故件数は1,395件(前年比+42件)、水難者は1,625件(同+78人)死者・行方不明者数は744人(同+22人)で、いずれも前年を上回りました。※水難者は死者・行行方不明者、負傷者、無事救出者を含む人数です。
全体(全年齢)
件数・人数 | 前年比 | |
発生件数 | 1,395件 | +55件 |
水難者数 | 1,625人 | +9人 |
死者行方 不明者 |
744人 | +27人 |
負傷者 | 275人 | -30人 |
無事救出 | 606人 | -30人 |
子ども(中学生以下)
発生件数は水難者が子どもだけの場合
件数・人数 | 前年比 | |
発生件数 | 119件 | +2件 |
水難者数 | 183人 | +7人 |
死者行方 不明者 |
31人 | +3人 |
負傷者 | 30人 | -2人 |
無事救出 | 122人 | +6人 |
過去10年間の推移
- 期間:2012年~2021年
- レジャー中だけでなく、歩行中の転落や業務中等を含めたすべての事故です。
全体(全年齢)
年ごとの発生件数、水難者数に大きな差はみられず、死者・行方不明者数も横ばい状況が続いています。
2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
事故 件数 |
1,448 | 1,459 | 1,305 | 1,450 | 1,505 | 1,341 | 1,356 | 1,298 | 1,353 | 1,395 |
水難者 | 1,714 | 1,639 | 1,491 | 1,635 | 1,742 | 1,614 | 1,529 | 1,538 | 1,547 | 1,625 |
死者 行方 不明 |
782 | 803 | 740 | 791 | 816 | 679 | 692 | 695 | 722 | 744 |
負傷者 | 324 | 287 | 271 | 314 | 313 | 323 | 301 | 285 | 255 | 275 |
年平均の件数等
- 事故件数:1,391件(中央値:1,376件)
- 水難者:1,607人(中央値:1,620人)
- 死者行方不明者:746人(中央値:742人)
- 負傷者:295人(中央値:294人)
1事故あたりの死者数は0.54人(過去10年間の平均)で、年ごとにみても0.51人~0.57人で大きな差はなく、2件に1人以上が亡くなっています。溺れることは命を落とす割合が非常に大きいと言えます。同列に比較はできませんが、交通事故の場合は115.8件に1人です(2021年の全国平均)。水難者の死者比率(10年間の平均)でみると0.46で、2人に1人近くが亡くなっており、また負傷者数に比べ死者数が約2.5倍多くなっています。
子ども(中学生以下)
子どもの事故に限れば、死者数は負傷者より少なくなっています。水難者の死者比率(10年間の平均)でみると0.18で全体の0.46より低くなっています。しかし2019年以降の比率は微増傾向です。※警察庁の統計では、発生件数は水難者が子どものみであった場合の件数。大人を含む場合の件数は含まれないということです。
2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
発生 件数 |
210 | 198 | 166 | 179 | 162 | 144 | 133 | 118 | 117 | 119 |
水難者 | 292 | 244 | 223 | 230 | 217 | 206 | 193 | 190 | 176 | 183 |
死者 行方 不明 |
61 | 44 | 55 | 53 | 31 | 26 | 22 | 30 | 28 | 31 |
負傷者 | 170 | 138 | 117 | 133 | 132 | 127 | 118 | 110 | 116 | 122 |
年平均の件数等
- 事故件数:155件(中央値:153件)
- 水難者:215人(中央値:212人)
- 死者行方不明者:38人(中央値:31人)
- 負傷者:128人(中央値:125人)
小中学生は危険の予測や溺れることへの想像力が未熟です。大人が教えてあげることが大切です。
事故の多い都道府県(2021年)
順 位 |
都道 府県 |
発生 件数 |
水 難 者 |
死者 行方 不明 |
1 | 沖縄 | 94 | 139 | 45 |
2 | 千葉 | 72 | 76 | 45 |
3 | 東京 | 68 | 81 | 43 |
4 | 北海道 | 62 | 78 | 34 |
5 | 静岡 | 60 | 71 | 20 |
6 | 鹿児島 | 50 | 51 | 22 |
7 | 新潟 | 46 | 55 | 26 |
8 | 茨城 | 45 | 54 | 17 |
9 | 長崎 | 45 | 48 | 26 |
10 | 兵庫 | 41 | 43 | 17 |
海や川で遊んでいる時に水を飲んでしまったり、鼻から水を吸い込み気管に入ってしまうと喉頭部が痙攣し声門が閉じ呼吸困難になります。この状態が続くと窒息状態になり、個人差はありますが肺から酸素が取り込めない状態が5分を超えると、臓器や脳に深刻なダメージを与えます。溺れるというのは、このような状況を含め、体を思うように動かせず泳ぐことも、浮くことも、声を出すことすら出来なくなることです。
学校のプール等で経験された人も少なくないと思いますが、プールの場合は水を飲んだりして呼吸困難になっても、多くの場合は立つことで呼吸を回復することも可能であり、救助も容易です。(プールでの死者は5年間の年平均で全体の0.5%)
川では夏季であっても場所や気象状況により、水温が低い場所もあります。(滝つぼなどは特に低く、22℃以下では生理機能が約40%低下するといわれています)
「大勢の人がいるから、家族や友達と一緒だから」で、事故のリスクが小さくなることはありません。また救助され命は取り留めたものの、重篤な後遺症が残るケースもあると思います。
水難事故の発生場所・行為
2021年の死者・行方不明者
場所 | 全体 | 子ども |
海 | 366人 | 5人 |
河川 | 253人 | 18人 |
湖沼池 | 53人 | 6人 |
用水路 | 67人 | 2人 |
プール | 4人 | /// |
その他 | 1人 | /// |
合計 | 744人 | 31人 |
過去5年の比率(%)
- 期間:2017年~2021年
- 子どもの死者・行方不明者の約6割(58.1%)は、河川での事故です。
色 | 場所 | 全体 | 子ども |
海 | 49.2 | 16.1 | |
河川 | 34.0 | 58.1 | |
湖沼池 | 7.1 | 19.4 | |
用水路 | 9.0 | 6.5 | |
プール | 0.5 | /// | |
その他 | 0.1 | /// |
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水難者の無事救出は10人中4人弱
海や川などで溺れたり流されたりした「水難者」が、ケガなどもなく救出された無事救出数も発表されています。比率にすると2021年の全国平均は37.3%です。
救出率 | 全体 | 子ども |
平均:37.3% 中央値:34.3% |
平均:66.7% 中央値は同じ ※水難者なしをのぞく |
救出率の順位
- 2021年の状況
- 子どもを含めた全体の救出率
- カッコ内は救出者/水難者です。
- 水難者は都道府県によって大きな差があります。
高い | 低い | |||
都道 府県 |
救出率 | 都道 府県 |
救出率 | |
1 | 京都 | 64.3%(9/14) | 長野 | 0%(0/7) |
2 | 徳島 | 61.5%(8/13) | 大阪 | 7.7%(2/26) |
3 | 群馬 | 60.0%(3/5) | 佐賀 | 10.5%(2/19) |
4 | 神奈川 | 58.7%(27/46) | 富山 | 12.9%(4/31) |
5 | 福岡 | 54.5%(24/44) | 岩手 | 15.8%(3/19) |
表では省略していますが、子どもの救出率がもっとも高かったのは、京都府の100%(水難者は4人で全員が無事救助)です。子どもの水難者がなかった群馬県や富山県、また水難者が5人以下の場合が多く、比率は年によって差が大きいかもしれません。
- 救出率0%の長野県は水難者7人のうち、4人が亡くなり3人が救助されたものの負傷しています。大阪府と富山県(川釣りでの事故が多いのが影響しているかも?)は、毎年救出率が低い傾向が続いています。
- 2021年に水難者がもっとも多かった沖縄県の救出率は51.1%です。水難者139人中、94人が亡くなり23人が負傷、無事救出は71人です。
- 過去の事故状況を見ると、魚釣りなど単独行動が多いレジャーでは救助要請が遅くなることなどで、無事救出者は少ない傾向です。
- 無事救出数は事故の場所や形態で、大きく変わると思います。

「溺れたらどうする・・」より、レジャーの前に危険を想像して「ここは危ないかも!溺れるかもしれないぞ!」と思うことが必要だね。

もしもの時のためにライフジャケットの着用も大切だね。
地域別のページ(2022年)には、すべての都道府県について、事故件数、水難者数、救出者数等を掲載してます、
夏の事故状況(7月と8月)
2021年夏季(7月と8月)は、事故件数と死者・行方不明者数は前年に比べ大きく減少したものの、中学生以下の子どもの死者・行方不明者は16人で昨年と同数でした。
夏休みが始まる前に子どもの行動範囲にある川やため池(農水省のHPによると全国に約16万か所)などの危険個所をGoogleマップ等で確認し、危険を教え近寄らないように指導し、事故を防ぐことが大切です。
2021年7月と8月(警察庁の統計)
警察庁の水難事故概況(夏季)のデーターから出典。レジャー中以外(日常での転落事故など)を含むずべての水難事故です。
9月も注意が必要です。2019年9月7日には大阪府高槻市の「芥川」で、祖父と一緒に遊びに来ていた孫の3人(いずれも小学生)が溺れ、祖父を含め4人が亡くなる重大事故も発生しています。
7月と8月(水難事故統計からの数値)
- 発生件数:451件(前年比-53件)
- 水難者数:565人(前年比-51人)
- 死者・行方不明者:212人(前年比-50人)
※中学生以下の子どもは16人(前年比±0人)です。
夏季に水難事故がもっとも多かったのは静岡県で35件、次いで北海道と沖縄県が22件、次いで茨城県が21件です。

事故件数と死者・行方不明者は減ったけど、子どもの死者・行方不明は前年と変わらなかったね。。

5年間の平均は14.8人で、年ごとの増減も2人以内で横ばい状況が続いている。悲しい事故を防ぐために、もっと啓発しないといけないね。
報道ベースでの事故状況
7月の死者・行方不明者数は、梅雨明け後の猛暑と晴天もあり、レジャー中の事故は37人(前年+10人)と多くなっています。7月22日~25日の4連休中は、全国で少なくとも18人の方が、事故で亡くなったり行方不明になっています。
8月は全国でレジャー中の事故のみで、少なくとも63人が死亡・重体・行方不明になっています。(全国的に中旬の天候不順が影響し、前年の約半数)。例年はお盆期間中の事故がもっとも多いです。このうち17人が22歳以下の若者や子どもです。また台風や大雨が影響したとみられる事故が相次いでいます。
2022年は7月16日(土)~18日(月・海の日)、8月は11日(木・山の日)からのお盆休みは十分な注意が必要です。例年この期間と8月最終の土日に事故が非常に多く発生しています。お盆期間(8月11~16日)だけをみても2020年は死傷者の発生した事故だけで、全国で少なくとも43件発生しています。(昨年は天候不順の影響で少なかった)
死者・行方不明者の発生場所
- 警察庁の夏季(7月と8月)統計による人数
- カッコ内は前年比です。
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海:94人(-20) | 河川:72人(-40) | 湖沼池:11人(±0) |
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|
用水路:18人(-2) | プール:1人(-1) |
- 死者・行方不明者の行為別では「魚取り・魚釣り」が67人で最多。
- 子ども(中学生以下)が亡くなったり・行方不明になった場所は川が9人。子どもの死者・行方不明場所の半数以上(56.3%)を占めます。
小中学生は危険の予測や溺れることへの想像力が未熟です。大人が教えてあげることが大切です。
水難事故の防止・対策
同列に比較はできませんが交通事故の死者数は10年前に比べ4割減少しています。しかし水難事故の死者数は横ばい状況が続いています。また水難者(死者・行方不明、負傷者、救出された人)の約35%(565人/1625人)は、7月と8月に発生した事故です。
レジャー中に溺れるケースの多くは加害者がいない事故であり、泳ぎが上手、苦手に関わらず、人間が自然に抗うことは不可能です。危険性の高い場所と行為などの情報を共有し、ご自身の判断ミスをなくし無理をしないことが大切です。
特に注意が必要なこと
海で溺れる事故
「台風の影響で波が高かった」などが目立ちます。遠方にある台風であっても波が高くなったり、海上ではうねりが発生することがあります。また海開き前または遊泳期間終了後に、泳いで事故に遭うケースも多く発生しています。
遊泳期間以外は監視員(ライフセーバーなど)が不在であり、溺れた場合は救助が遅れるなど危険が大きくなります。また遊泳禁止の場所は足に絡む藻が多い、海底に岩など障害物が目立つなどで、見かけで判断できない危険があります。
川で溺れる事故
「大雨の影響で普段より水量が多く流れが速かった」といったケースが多くみられます。お出かけ地域の気象情報を十分に確認して、安全を最優先にした行動が大切です。またレジャー当日も急な雷雨などで、水量や流れが急変することもあります。
その他
水難事故防止チラシ
海や川での事故防止簡易チラシです。いずれもPDFで表示・印刷(A4サイズ|タテ)できます。子ども向けは小学校4年生~6年生が対象です。若者向けチラシには、もしもの時に役立つ「海上保安庁」や「河川財団」のページQRコードを掲載しています。本文中の人数などは「水難事故統計」からの出典です。(2021年の統計データーを使用)
川での水遊び、魚釣り

川遊びや魚釣りをしている家族やお友達に、画像を送ってあげるといいかも。今いる川は急流渦(か)も知れないよ。

水に関する漢字に使われる部首”さんずい”に、弱が2つ並んで「溺」れるだね。人間は水に弱いもんね。最近の川には怖いカッパはいないかもだけど、見えない危険がいっぱいあるし。この漢字は見た目も危ない感じするし、中学で習うようだけど覚えておくといいかもね。
2022年と2021年の事故
6月~9月に発生したレジャー中の事故について、地域ごとに発生場所や状況を掲載しています。
今年(2022年)の事故
期間:6月~
昨年(2021年)の事故
期間:6月~9月
2016年~2020年
6月~9月に発生した水難事故ついて、地域別に分類し記録しています。悲しく痛ましい事故が多いですが、教訓として生かすことも大切かと思います。いつ、どこで、どのような状況で発生したか?概要のみの掲載です。