水難事故の事例・原因・統計(2024年)

水難事故発生状況

[目次]

このページに掲載している統計数値は、警察庁の「水難事故統計」から出典(利用規約に準拠)した情報です。(グラフ・表は当サイトで作成。二次情報としてご承諾の上であれば、再利用いただいてもOKです)

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水難事故の発生状況

2023年の水難事故件数は、1,392件(前年比+46件)、水難者は1,667件(同+27人)死者・行方不明者数は743人(同-16人)です。※水難者とは死者・行方不明者、負傷者、無事救出者を含む人数です。

レジャー中だけでなく、歩行中の転落や業務中等を含めたすべての事故です。(表はデバイスによって横スクロールします)

全年齢

件数・人数 前年比
発生件数 1,392件 -46件
水難者数 1,667人 +27人
死者行方
不明者
743人 +16人
負傷者 290人 +42人
無事救出 634人 +59人

子ども(中学生以下)

発生件数は水難者が中学生以下のみ場合で、大人と一緒の場合は含まれません。

件数・人数 前年比
発生件数 93件 -11件
水難者数 177人 -21人
死者行方
不明者
27人 +1人
負傷者 32人 +2
無事救出 118人 -21

過去10年間の推移

  • 期間:2014年~2023年
  • レジャー中だけでなく、日常生活での転落や業務中等を含めたすべての事故です。
  • 死者・行方不明者は合算しています。

1.全年齢

年ごとの発生件数、水難者数に大きな差はみられず、死者・行方不明者数も横ばい状況が続いています。

1-1. グラフ(拡大表示)

水難事故の推移(過去10年間)全体
1-2. 年平均(中央値)

  • 事故件数:1,374件(1,355件)
  • 水難者:1,603人(1,620人)
  • 死者行方不明者:740人(734人)
  • 負傷者:288人(同)

1-3. 各年の件数・人数を見る

2019年~2023年[表示]
全年齢 2019 2020 2021 2022 2023
事故件数 1298 1353 1395 1346 1392
水難者 1538 1547 1625 1640 1667
死者
行方不明
695 722 744 727 743
負傷者 285 255 275 248 290
2014年~2018年[表示]
全年齢 2014 2015 2016 2017 2018
事故件数 1305 1450 1505 1341 1356
水難者 1491 1635 1742 1614 1529
死者
行方不明
740 791 816 679 692
負傷者 271 314 313 323 301

1-4. 水難者の構成比

2023年までの10年間で水難者(溺れたり流された人)は1万6028人です。このうち7,349人(45.8%)が亡くなったり行方不明になっています。

死者
行方不明
(45.8%)
負傷者
(17.9%)
無事救出
(36.3%)

事故1件あたりの死者・行方不明者数は0.54人(10年間の平均)で、年ごとにみても0.46人~0.57人で大きな差はなく、約2件に1人が亡くなっています。水難事故は命を失う割合が非常に大きいと言えます。{同列に比較はできませんが、2023年の交通事故による死者は約115件に1人}
水難者に対する死者・行方不明者の比率(同期間)でみると0.46で、2人に1人近くが亡くなっています。また死者数は負傷者数の約2.6倍です。直接的な表現をすれば「溺れたら死ぬ確率は約2分の1、2人に1人は生還できない!」ということになります。

2.子ども(中学生以下)

発生件数は水難者が中学生以下のみ場合で、大人と一緒の場合は含まれません。

子どもの事故に限れば、死者数は負傷者数より少なくなっています。水難者に対する死者・行方不明比率(10年間の平均)でみると0.17で全年齢の0.46より低くなっています。統計からは負傷の程度まで分かりませんが、溺水事故は深刻な後遺症を負うケースも少なくないと思います。

2-1. グラフ(拡大表示)

子どもの水難事故発生件数は減少傾向にあるものの、死者・行方不明、負傷者数は横ばい。また1事故あたりの水難者が多くなりはじめています。

水難事故の推移(過去10年間)子ども
子どもの事故は1度に複数人が溺れることが多い。事故1件あたりの水難者数は10年間の平均で1.49人(全年齢は1.17人)です。警察庁の統計(発生件数)は子どもだけの事故で、水難者数は大人と一緒の場合を含むため、発生件数に対する水難者数は大きくなります。しかし、これを考慮しても2023年の水難者比率は1.90で、10年間で前年と並んで高くなっています。さまざまな要因が絡むと思いますが、子どもだけで水遊びをさせない、友達を誘わない、誘われても絶対について行かないなどの指導が必要かと思います。

2-2. 年平均(中央値)

  • 事故件数:134件(126件)
  • 水難者:199人(196人)
  • 死者行方不明者:33人(29人)
  • 負傷者:43人(47人)

2-3. 各年の件数・人数を見る

2019年~2023年[表示]
子ども 2019 2020 2021 2022 2023
事故件数 118 117 119 104 93
水難者 190 176 183 198 177
死者
行方不明
30 28 31 26 27
負傷者 50 32 30 33 32
2014年~2018年[表示]
子ども 2014 2015 2016 2017 2018
事故件数 166 179 162 144 133
水難者 223 230 217 206 193
死者
行方不明
55 53 31 26 22
負傷者 51 44 54 53 53

2-4. 水難者の構成比

2023年までの10年間で溺れたり流された子ども(中学生以下)の水難者は1,993人です。このうち329人が亡くなったり行方不明になっています。

死者
行方不明
(16.8%)
負傷者
(22.4%)
無事救出
(60.8%)
地域で子どもの見守り

毎年6月から子どもの事故が目立ち始めます。川や池などで子どもだけで遊んでるのを見かけ危険が予想される場合は、直接注意することは困難であっても該当地域を管轄する警察署に連絡し巡回を依頼、状況によっては110番通報などで事故防止につながると思います。判断に迷った場合は警察相談窓口(#9110)に電話することで適切に判断してくれそうです。

子どもの水難事故防止

事故が多かった都道府県

2023年(年間)のデーターです。


都道
府県
発生
件数


死者
行方
不明
1 沖縄 116 169 60
2 東京 80 83 44
3 兵庫 61 62 33
4 岐阜 57 66 28
5 福岡 55 67 20
6 静岡 53 58 15
7 神奈川 52 79 20
8 北海道 49 66 23
9 千葉 47 53 23
10 富山 41 42 30
水難者の約2人に1人が死亡

溺れることは怖い

海や川で遊んでいる時に水を飲んでしまったり、鼻から水を吸い込み気管に入ってしまうと喉頭部(こうとうぶ、ノドの部分)が痙攣(けいれん)し、声門が閉じ呼吸困難になります。この状態が続くと窒息状態になり、個人差はありますが肺から酸素が取り込めない状態が5分を超えると、臓器や脳に深刻なダメージを与えます。溺れるというのは、このような状況を含め、自分の意思で体を動かすこと出来なくなることです。泳ぐことも、浮くことも、声を出すことすら出来なくなります。事故は瞬間的に起きるとも言われます。

学校のプール等で水を飲み呼吸困難になった経験がある方も少なくないと思います。プールでは立ち上がることで自力で回復したり、監視員による発見や救助も容易です。しかし海や川など自然環境では困難です。また川は夏であっても場所や気象状況により、水温が低い場合もあります。(滝つぼなどは特に低く、水温22℃以下では生理機能が約40%低下するといわれています)

「大勢の人がいるから、家族や友達と一緒だから」で、事故のリスクが小さくなることはありません。繰り返しますが水難者(全年齢)の死者比率は、過去10年をみても年ごとに大きな差はなく、平均で0.46です。溺れたら約2人に1人が命を失っています。「河川財団」の資料では、川での水難事故の78%が死者・行方不明というデーターもあります。

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溺水事故の9割以上が重い症状

都内のみのデーターですが、東京消防庁の資料(PDF)によると、家庭内での事故(浴室で溺れるなど)、海や川でレジャー中を含め溺水事故で救急搬送された471人の内訳です。

  1. 死亡:225人(約半数)
  2. 重篤(生命の危機が切迫):144人
  3. 重症(生命の危機が強い):22人
  4. 中等(入院を要するもの):60人
  5. 軽症:20人

溺れた場所に関わらず呼吸困難により低酸素状態が続いた場合は、深刻な後遺症を負うケースも少なくないと思います。

事故の報道でよく聞く心肺停止について、医師から寄稿いただきました。

水難事故の発生場所・行為

場所ごとの死者・行方不明者

2023年(年間)の状況です。

場所 全年齢 子ども
368人 7人
河川 248人 16人
湖沼池 39人 2人
用水路 75人 //
プール 6人 2
その他 7人 //
合計 743人 27人

2023年の構成比(%)

子どもの死者・行方不明者の約6割(59.3%)は、河川での事故です。前年より5.4%高くなっています。毎年半数以上が川の事故です。Googleマップ等で子どもの行動範囲にある川、池や沼の場所を知ることも必要です。(転居された場合は確認しましょう)

場所 全年齢 子ども
49.5% 25.9%
河川 33.4% 59.3%
湖沼池 5.2% 7.4%
用水路 10.1% 0.0%
プール 0.8% 7.4%
その他 0.9% 0.0%

 

水難事故の発生場所グラフ

行為別の死者・行方不明者
  • 海や川、湖沼でのレジャー・スポーツ中の事故(全年齢)
  • 毎年、魚とり・釣り中の事故がもっとも多い

仕事中、日常生活での歩行中の転落、行為不明などを除いているため、死者・行方不明の合計とは一致しません。また表への掲載はありませんが子ども(中学生以下)に限ると、各年約半数が水遊び中の事故です。

行為 2023年 2022年 2021年
水泳 55 40 30
水遊び 40 41 41
魚とり
釣り
177 186 214
ボート遊び 7 12 7
シュノーケ
リング
18 29 20
スキューバ
ダイビング
15 13 8
サーフィン 11 13 18

SUP(スタンドアップパドルボード)を使ったレジャーで、沖に流される事故も目立ち始めています。

無事に救出は10人中、約3人の現実

海や川などで溺れたり流されたりした「水難者」が、ケガなどもなく救出された無事救出者数も都道府県ごとに発表されています。比率にすると2023年の全国平均は35.3%です。(前年より5.2%低くなっています)

救出率の順位
  • 2023年の状況
  • 子どもを含めた全体の救出率(%)
  • カッコ内は無事救出者/水難者

高い 低い
都道
府県
救出率 都道
府県
救出率
1 奈良 100.0
(10/10)
長野 0.0
(0/9)
2 滋賀 75.4
(49/65)
大阪 0.0
(0/17)
3 茨城 69.8
(30/43)
佐賀 5.3
(1/19)
4 香川 63.6
(7/11)
京都 8.3
(1/12)
5 山形 63.2
(24/38)
富山 11.9
(5/42)
  • 都道府県ごとの水難者数に大きな差があるため、一律の比較は難しいかも知れません。また事故の様態によっても救出率に違いが出ます。単独で魚釣り中の事故などは救助要請が遅くなるケースも多く、無事救出は少ないようです。
  • 救出率0%は長野県と大阪府です。いずれも水難者全員が亡くなっています。(大阪府は前年も水難者全員が亡くなる)毎年、滋賀県の救出率は高く、大阪府と富山県は低い傾向が続いています。(富山県はアユ釣りなどで、川での事故が多いことが影響しているかもしれません)
  • 2023年に水難者がもっとも多かった沖縄県の救出率は39.1%です。水難者169人中、亡くなったり行方不明になったのは60人、負傷者は43人、無事救出者は66人です。
  • 無事救出数は事故の場所や様態で、大きく変わると思います。

「溺れたらどうする・・」より、レジャーの前に「ここは危ないかも!溺れるかもしれないぞ!」と想像することが大事だね。

 

もしもの時のためにライフジャケットの着用も必要だね。

 

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夏の水難事故(7月と8月)

2023年9月13日発表分

7月と8月に全国で発生した水難事故は453件(中学生以下は49件)、水難者は568人(同106人)です。死者・行方不明者は236人(前年同期より8人多い)で、このうち中学生以下は16人(同8人多い)です。

2023年7月と8月

数値は水難事故概況(夏季)のデーターから出典。レジャー中以外(仕事中、通行中での転落事故など)を含みます。表やグラフは当サイトで作成(二次情報として再利用はご自由に)。

夏休みの水難事故

水難事故の夏季統計

  • 発生件数:453件(前年比-6件)
  • 水難者数:568人(同-70人)
    ※溺れたり流された人
  • 死者・行方不明者:236人(同+8人)で、2年連続で前年より増えています。
  • 死者・行方不明者のうち、中学生以下の子どもは16人(同+8人)、高校生またはこれに相当する年齢者は5人(同‐2人)です。

全体の発生件数と水難者数は前年より減ったけど、子どもが亡くなる事故が増えてしまった。

悲しい事故はなくしたいです。

(1)水難事故の発生状況[全年齢]

夏の水難事故発生状況(グラフ)全年齢

▲5年間の水難者の合計は2,981人、死者・行方不明者は1,177人です。

2019 2020 2021 2022 2023
発生件数 461 504 451 459 453
水難者 594 616 565 638 568
死者
行方不明
239 262 212 228 236
負傷者 112 73 77 81 79
無事救出 243 281 276 329 253

▲2023年7月と8月は1日あたり7.3件の事故が発生し、9.2人が溺れたり流されたりしています。死者・行方不明者は3.8人です。

(2)水難事故の発生状況[子ども]

夏の水難事故発生状況(グラフ)子ども

▲5年間の水難者の合計は544人、死者・行方不明者は71人です。

2019 2020 2021 2022 2023
発生件数 62 60 67 50 49
水難者 107 101 110 120 106
死者
行方不明
14 16 16 9 16
負傷者 29 15 15 16 20
無事救出 64 70 79 95 70

▲発生件数は水難者が中学生以下のみであった件数で、大人と一緒の場合は含まれません。

死者・行方不明者の発生場所

  • レジャー中以外(作業・通行中の転落など)を含みます。
  • カッコ内は前年比
海の事故 川の事故 湖・池・沼の事故
海:106人(-7) 河川:100人(+12) 湖沼池:16人(+7)
用水路の事故 プールの事故
用水路:11人(-3) プール:2人(+1)
  • 死者・行方不明者の行為別では「魚とり・釣り」が47人でもっとも多く、次いで「水泳中」が39人(過去5シーズンでは最多)です。次いで「水遊び中」が30人です。
  • シュノーケリング中の死者は9人です。
  • 子ども(中学生以下)が亡くなったり・行方不明になった場所は海が3人、河川が10人、湖沼池が2人、プールが1人です。河川での死亡事故は過去5シーズンでもっとも多くなっています。
  • 7月21日に福岡県宮若市の「犬鳴川」で、川遊びをしていた小学生女児3人が亡くなる重大事故が発生しています。また琵琶湖での水難事故(報道ベースでは2か月間に子どもを含む5人が死亡または意識不明)が目立ちました。
  • 報道ベースでの中学生以下の事故16歳~22歳の事故を記録しています。
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夏の水難事故防止
夏の水難事故を防ぐために出来ること>>


水難事故の多かった都道府県

7月と8月の全年齢です。


発生件数 水難者数
都道
府県
件数 都道
府県
人数
1 東京 31 神奈川 48
2 岐阜 28 岐阜 36
3 神奈川 27 東京 34
4 静岡 22 沖縄 26
5 沖縄 21 静岡 25

▲水難者は死亡・行方不明、負傷、無事救出を含みます。

すべての都道府県データー(死者・行方不明、負傷者、救出者等)は、こちらに掲載しています。

川で溺れないために
川で溺れないために出来ること>>

水難事故防止(簡易チラシ)

各チラシはPDFで表示・印刷できます。低画質なため印刷される場合はA4(タテ)をおすすめします。(子ども向けは小学4年生以上が対象)

まとめてダウンロード
(zip|659KB)

子どもの水難事故防止

水難事故の事例

2016年以降の6月~9月に発生したレジャー中の事故について、1500件以上を記録しています。その中で地域や発生場所(河川名など)、行為や状況、子ども、若年層などで分類しています。

過去の事故からリスクを予見

どのような事故が多く発生してるかを知ることで、予定されるレジャーに応じたリスクを予見し安全対策を!(事例は概要のみ)

(1)地域別(2023年と2024年)

北海道から関東東海・北陸近畿・中国・四国九州・沖縄

(2)レジャー人口の多い河川

那珂川荒川多摩川相模川長良川板取川神通川木曽川・矢作川・豊川四万十川仁淀川・面子川

(3)地域別の河川

※(2)を含みます。

北海道東北関東・甲信東海・北陸近畿中国四国九州・沖縄

(4)湖沼池・滝つぼ

琵琶湖全国の湖沼池滝つぼ

(5)子ども・若者

未就学児小中学生高校生・大学生・若者(22歳以下)

(6)レジャー別

キャンプ・BBQシュノケーリング水上バイクダイビング小型ボートSUPサーフィン

(7)状況別

救助事故離岸流サンダル等が流された台風・大雨

(8)1事故で複数の水難者が発生

おもな事故

#水難事故

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関連サイト
昭和残照館