水難事故の事例と発生場所・原因(2023年)

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[目次]

このページに掲載している統計数値は、警察庁の「水難事故統計」から出典(利用規約に準拠)した情報です。(グラフ・表は当サイトで作成。二次情報として再利用いただいてもOKです)

水難事故の発生状況

昨年の年間統計は2024年6月に発表されます。

2022年の水難事故件数は1,346件(前年比-49件)、水難者は1,640件(同+15人)死者・行方不明者数は727人(同-17人)です。※水難者とは死者・行方不明者、負傷者、無事救出者を含む人数です。

レジャー中だけでなく、歩行中の転落や業務中等を含めたすべての事故です。(表はデバイスによって横スクロールします)

全年齢

件数・人数 前年比
発生件数 1,346件 -49件
水難者数 1,640人 +15人
死者行方
不明者
727人 -17人
負傷者 248人 -27人
無事救出 665人 -59人

子ども(中学生以下)

発生件数は水難者が中学生以下のみ場合で、大人と一緒の場合は含まれません。

件数・人数 前年比
発生件数 104件 -15件
水難者数 198人 +15人
死者行方
不明者
26人 -5人
負傷者 33人 +2人
無事救出 139人 +17人

過去10年間の推移

  • 期間:2013年~2022年
  • レジャー中だけでなく、日常生活での転落や業務中等を含めたすべての事故です。
  • 死者・行方不明者は合算しています。

1.全年齢

年ごとの発生件数、水難者数に大きな差はみられず、死者・行方不明者数も横ばい状況が続いています。

1-1. グラフ

水難事故の推移(過去10年間)全体
2020年と2021年は新型コロナの影響で行動制限が頻繁に出され、夏は多くの海水浴場が閉鎖、川では河川敷への立ち入り規制が行われたところもありました。2022年は緩和されたものの営業しない海水浴場もありました。しかし、この期間の水難者数は新型コロナの発生前(直近)よりやや増加しています。

1-2. 年平均(中央値)

  • 事故件数:1,381件(1,354件)
  • 水難者:1,600人(1,620人)
  • 死者行方不明者:740人(734人)
  • 負傷者:288人(286人)

1-3. 各年の件数・人数を見る

2018年~2022年[表示]
全年齢 2018 2019 2020 2021 2022
事故件数 1356 1298 1353 1395 1346
水難者 1529 1538 1547 1625 1640
死者
行方不明
692 695 722 744 727
負傷者 301 285 255 275 248
2013年~2017年[表示]
全年齢 2013 2014 2015 2016 2017
事故件数 1459 1305 1450 1505 1341
水難者 1639 1491 1635 1742 1614
死者
行方不明
803 740 791 816 679
負傷者 287 271 314 313 323

1-4. 水難者の構成比

2022年までの10年間で水難者(溺れたり流された人)は1万6000人です。このうち7,409人(46.3%)が亡くなったり行方不明になっています。

死者
行方不明
(46.3%)
負傷者
(18.0%)
無事救出
(35.7%)

事故1件あたりの死者・行方不明者数は0.54人(10年間の平均)で、年ごとにみても0.51人~0.57人で大きな差はなく、2件に1人以上が亡くなっています。水難事故は命を失う割合が非常に大きいと言えます。{同列に比較はできませんが、2022年の交通事故による死者は約115件に1人}
水難者に対する死者・行方不明者の比率(同期間)でみると0.46で、2人に1人近くが亡くなっています。また死者数は負傷者数の約2.6倍です。直接的な表現をすれば「溺れたら死ぬ確率は約2分の1、2人に1人は生還できない!」ということになります。

2.子ども(中学生以下)

発生件数は水難者が中学生以下のみ場合で、大人と一緒の場合は含まれません。

子どもの事故に限れば、死者数は負傷者数より少なくなっています。水難者に対する死者・行方不明比率(10年間の平均)でみると0.17で全年齢の0.46より低くなっています。統計からは負傷の程度まで分かりませんが、溺水事故は深刻な後遺症を負うケースも少なくないと思います。

2-1. グラフ

水難事故の推移(過去10年間)子ども
子どもの事故は1度に複数人が溺れることが多い。子どもの水難者数は2020年まで緩やかな減少傾向が続いていましたが、その後は増加傾向です。事故1件あたりの水難者数は10年間の平均で1.43人(全年齢は1.16人)です。警察庁の統計は発生件数は子どもだけの事故、水難者数は大人と一緒の場合を含むため、発生件数に対する水難者数は大きくなります。しかし、これを考慮しても2022年の水難者比率は1.90で、10年間でもっとも高くなっています。

2-2. 年平均(中央値)

  • 事故件数:144件(139件)
  • 水難者:206人(202人)
  • 死者行方不明者:35人(30人)
  • 負傷者:46人(51人)

2-3. 各年の件数・人数を見る

2018年~2022年[表示]
子ども 2018 2019 2020 2021 2022
事故件数 133 118 117 119 104
水難者 193 190 176 183 198
死者行方不明 22 30 28 31 26
負傷者 53 50 32 30 33
2013年~2017年[表示]
子ども 2013 2014 2015 2016 2017
事故件数 198 166 179 162 144
水難者 244 223 230 217 206
死者行方不明 44 55 53 31 26
負傷者 62 51 44 54 53

2-4. 水難者の構成比

2022年までの10年間で溺れたり流された子ども(中学生以下)の水難者は2,060人です。このうち346人が亡くなったり行方不明になっています。

死者
行方不明
(16.8%)
負傷者
(22.4%)
無事救出
(60.8%)

 

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地域で子どもの見守り

今年は6月から子どもの事故が目立つようです。川や池などで子どもだけで遊んでるのを見かけ危険が予想される場合は、直接注意することは困難であっても該当地域を管轄する警察署に連絡し巡回を依頼、状況によっては110番通報などで事故防止につながると思います。判断に迷った場合は警察相談窓口(#9110)に電話することで適切に判断してくれそうです。

小中学生は危険の予測や溺れることへの想像力が未熟です。大人が教えてあげることが大切です。

事故が多かった都道府県

2022年(年間)のデーターです。2003年のデーターは2024年6月に発表されます。


都道
府県
発生
件数


死者
行方
不明
1 沖縄 106 143 42
2 東京 84 90 71
3 千葉 66 72 33
4 静岡 53 60 21
5 鹿児島 52 57 28
6 岐阜 50 66 20
7 新潟 45 56 23
8 北海道 43 56 20
9 兵庫 41 49 15
10 茨城 39 53 14
水難者の約2人に1人が死亡

溺れることは怖い

海や川で遊んでいる時に水を飲んでしまったり、鼻から水を吸い込み気管に入ってしまうと喉頭部(こうとうぶ、ノドの部分)が痙攣(けいれん)し、声門が閉じ呼吸困難になります。この状態が続くと窒息状態になり、個人差はありますが肺から酸素が取り込めない状態が5分を超えると、臓器や脳に深刻なダメージを与えます。溺れるというのは、このような状況を含め、体を思うように動かせず泳ぐことも、浮くことも、声を出すことすら出来なくなることです。

学校のプール等で経験のある方も少なくないと思いますが、プールの場合は水を飲んだりして呼吸困難になっても、立つことで呼吸を回復することも容易です。川では夏季であっても場所や気象状況により、水温が低い場合もあります。(滝つぼなどは特に低く、22℃以下では生理機能が約40%低下するといわれています)

「大勢の人がいるから、家族や友達と一緒だから」で、事故のリスクが小さくなることはありません。繰り返しますが水難者(全年齢)の死者比率は、過去10年の平均で0.46です。溺れたら約2人に1人が命を失っています。「河川財団」の資料では、川での水難事故の78%が死者・行方不明というデーターもあります。

溺水事故の9割以上が重い症状

都内のみのデーターですが、東京消防庁の資料(PDF)2021年によると、家庭内での事故(浴室で溺れるなど)、海や川でレジャー中を含め溺水事故で救急搬送された471人の内訳です。

  1. 死亡:225人(約半数)
  2. 重篤(生命の危機が切迫):144人
  3. 重症(生命の危機が強い):22人
  4. 中等(入院を要するもの):60人
  5. 軽症:20人

溺れた場所に関わらず呼吸困難により低酸素状態が続いた場合は、深刻な後遺症を負うケースも少なくないと思います。

溺れて心肺停止になると5分経過で救命率は20%以下に。予後などを含め医師から寄稿いただきました>>

水難事故の発生場所・行為

場所ごとの死者・行方不明者

2022年(年間)の状況です。

場所 全年齢 子ども
363人 4人
河川 245人 14人
湖沼池 39人 3人
用水路 68人 4人
プール 3人 ///
その他 9人 1人
合計 727人 26人

過去5年の構成比(%)

  • 期間:2018年~2022年
  • 子どもの死者・行方不明者の約半数(53.8%)は、河川での事故です。
場所 全年齢 子ども
49.9 15.4
河川 33.7 53.8
湖沼池 5.4 11.5
用水路 9.4 15.4
プール 0.4 ///
その他 1.2 3.8

水難事故の発生場所

行為別の死者・行方不明者
  • 海や川、湖沼でのレジャー・スポーツ中の事故(全年齢)
  • 毎年、魚とり・釣り中の事故がもっとも多い

仕事中、日常生活での歩行中の転落、行為不明などを除いているため、死者・行方不明の合計とは一致しません。また表への掲載はありませんが子ども(中学生以下)に限ると、各年約半数が水遊び中の事故です。

行為 2022年 2021年 2020年
水泳 40 30 39
水遊び 41 41 67
魚とり
釣り
186 214 224
ボート遊び 12 7 8
シュノーケ
リング
29 20 14
スキューバ
ダイビング
13 8 17
サーフィン 13 18 17

シュノーケリング中の死亡事故が増えています。2022年は29人(このうち19人は7月と8月)が亡くなり、前年より9人多く2016年以降では、もっとも多くなっています。

またSUP(スタンドアップパドルボード)を使ったレジャーで、沖に流される事故も目立ち始めています。

無事に救出は10人中4人

海や川などで溺れたり流されたりした「水難者」が、ケガなどもなく救出された無事救出者数も都道府県ごとに発表されています。比率にすると2022年の全国平均は40.5%です。

無事救出率
(全国平均)
全年齢 子ども
40.5% 70.2%

2013年~2022年の平均は35.7%(中央値同じ)、子どもに限ると61.0%(同61.1%)です。

救出率の順位
  • 2022年の状況
  • 子どもを含めた全体の救出率
  • カッコ内は無事救出者/水難者

高い 低い
都道
府県
救出率 都道
府県
救出率
1 滋賀 84.1%
(69/82)
群馬 0%
(0/3)
2 鳥取 70.0%
(14/20)
大阪 0%
(0/19)
3 愛媛 68.0%
(17/25)
富山 7.7%
(3/39)
4 山梨 64.3%
(9/14)
和歌山 13.8%
(4/29)
5 岐阜 63.6%
(42/66)
福島 14.3%
(3/21)
  • 都道府県ごとの水難者数に大きな差があるため、一律の比較は難しいかも知れません。また事故の様態によっても救出率に違いが出ます。単独で魚釣り中の事故などは救助要請が遅くなるケースもあり、無事救出は少ないようです。
  • 救出率0%は群馬県と大阪府です。大阪府は水難者19人のうち19人(全員)が亡くなっています。(中学生以下の死者はなし)毎年、滋賀県の救出率は高く、大阪府と富山県は低い傾向が続いています。(富山県はアユ釣りなど川の事故が多いのが影響しているかも?)
  • 2022年に水難者がもっとも多かった沖縄県の救出率は51.1%です。水難者143人中、亡くなったり行方不明になったのは42人、負傷者は35人、無事救出者は66人です。
  • 無事救出数は事故の場所や様態で、大きく変わると思います。

「溺れたらどうする・・」より、レジャーの前に「ここは危ないかも!溺れるかもしれないぞ!」と想像することが大事だね。

 

もしもの時のためにライフジャケットの着用も必要だね。

 

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夏の水難事故(7月と8月)

2023年9月13日発表分

7月と8月に全国で発生した水難事故は453件(中学生以下は49件)、水難者は568人(同106人)です。死者・行方不明者は236人(前年同期より8人多い)で、このうち中学生以下は16人(同8人多い)です。

2023年7月と8月

数値は水難事故概況(夏季)のデーターから出典。レジャー中以外(仕事中、通行中での転落事故など)を含みます。表やグラフは当サイトで作成(二次情報として再利用はご自由に)。

夏休みの水難事故

水難事故の夏季統計

  • 発生件数:453件(前年比-6件)
  • 水難者数:568人(同-70人)
    ※溺れたり流された人
  • 死者・行方不明者:236人(同+8人)で、2年連続で前年より増えています。
  • 死者・行方不明者のうち、中学生以下の子どもは16人(同+8人)、高校生またはこれに相当する年齢者は5人(同‐2人)です。

全体の発生件数と水難者数は前年より減ったけど、子どもが亡くなる事故が増えてしまった。

悲しい事故はなくしたいです。

夏の水難事故発生状況(グラフ)全年齢

▲上記期間の水難者の合計は2,981人、死者・行方不明者は1,177人です。

2019 2020 2021 2022 2023
発生件数 461 504 451 459 453
水難者 594 616 565 638 568
死者
行方不明
239 262 212 228 236
負傷者 112 73 77 81 79
無事救出 243 281 276 329 253

▲2023年7月と8月は1日あたり7.3件の事故が発生し、9.2人が溺れたり流されたりしています。死者・行方不明者は3.8人です。

夏の水難事故発生状況(子ども)

▲上記期間の水難者の合計は544人、死者・行方不明者は71人です。

2019 2020 2021 2022 2023
発生件数 62 60 67 50 49
水難者 107 101 110 120 106
死者
行方不明
14 16 16 9 16
負傷者 29 15 15 16 20
無事救出 64 70 79 95 70

▲発生件数は水難者が中学生以下のみであった件数です。

死者・行方不明者の発生場所

  • レジャー中以外(作業・通行中の転落など)を含みます。
  • カッコ内は前年比
海の事故 川の事故 湖・池・沼の事故
海:106人(-7) 河川:100人(+12) 湖沼池:16人(+7)
用水路の事故 プールの事故
用水路:11人(-3) プール:2人(+1)
  • 死者・行方不明者の行為別では「魚とり・釣り」が47人でもっとも多く、次いで「水泳中」が39人(今年を含め過去5シーズンでは最多)です。次いで「水遊び中」が30人です。
  • シュノーケリング中の死者は9人です。
  • 子ども(中学生以下)が亡くなったり・行方不明になった場所は海が3人、河川が10人、湖沼池が2人、プールが1人です。河川での死亡事故は今年を含めた過去5シーズンでもっとも多くなっています。
  • 7月21日に福岡県宮若市の「犬鳴川」で、川遊びをしていた小学生女児3人が亡くなる重大事故が発生しています。また琵琶湖での水難事故(報道ベースでは2か月間に子どもを含む5人が死亡または意識不明)が目立ちました。
  • 報道ベースでの中学生以下の事故16歳~22歳の事故を記録しています。

 

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水難事故の多かった都道府県

7月と8月の全年齢です。


発生件数 水難者数
都道
府県
件数 都道
府県
人数
1 東京 31 神奈川 48
2 岐阜 28 岐阜 36
3 神奈川 27 東京 34
4 静岡 22 沖縄 26
5 沖縄 21 静岡 25

▲水難者は死亡・行方不明、負傷、無事救出を含みます。

すべての都道府県データー(死者・行方不明、負傷者、救出者等)は、こちらに掲載しています。


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その他

水難事故の事例(2023年)

6月~9月に発生したレジャー中の事故について、地域ごとに発生場所や状況を掲載しています。

地域ごとに掲載しています。

地域ごとに都道府県の事故データーも併せて掲載しています。

北海道から関東東海・北陸近畿・中国・四国九州・沖縄

レジャーごとに事故を分類

2016年以降の6月~9月に発生した水難事故について、レジャーごとに分類して記録しています。※キャンプはBBQを含みます。サンダルは遊具などが流され、取りに行く途中に溺れた事故です。

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事件・事故・災害アーカイブ